ティーンズトップページ

2024年10月号 文化祭特集

まだ終わらないで、文化祭

 

藤つかさ/著

双葉社

 八津丘高校の文化祭では生徒によるサプライズイベントが恒例となっている。しかし2年前、ゲリラライブを注意しようとした教師がケガを負い、その瞬間がSNSにアップされ炎上。ニュースにもなり、大問題に。今年も自粛モードの文化祭初日の朝、掲示板に2年前のポスターが貼られていた!文化祭実行委員の市ヶ谷のぞみは、“あたり”をつけた部員に話を聞くことに…。

 話を聞いた部員それぞれの視点で文化祭が語られます。その中に散りばめられた「秘密」が、物語のラストに向けてはらはらとつまびらかになっていきます。2年前のポスターは誰が、なぜ貼ったのか。学校側への宣戦布告なのか、生徒への挑発なのか。読んでいて心臓の奥がざわざわと騒がしくなった青春ミステリーです。
 

魔女と花火と100万円

望月雪絵/作

講談社

 中学2年生の杏は、波風を立てないよう何事も周りに合わせ、クラスでは「地味なの」に分類されている。来年から文化祭がなくなると知っても、大人が決めたなら仕方がないと諦めていた。しかし、生徒会役員の成田による強引な勧誘があり、文化祭継続のための資金集めに協力することとなった。クラスでも目立つグループの高木、不登校中の姫野、大人っぽい佐久間、そして成田。これまで関わったことのないメンバーとの交流に、少しずつ杏の中にも変化が生まれていく。

 「大人はどうせ解ってくれない」という反抗心から始まった活動が、自分と向き合うことへと繋がり、やがて両親や先生の思いに気づいていく過程が丁寧に書かれています。子どもだから・大人だからと線引きせず、解りあうための対話の大切さが伝わってくる作品です。
 

HM同好会

藤野千夜/作

理論社

 亜矢の通う高校では、3年に1度3日間に渡って文化祭が行われる。亜矢たちのグループはパウンドケーキを作って模擬店のカフェをすることにした。その名も「ホームメイキング同好会」!ランチ仲間の千代田りんと三上君と東雲さん、さらに彼氏ののぶおも引き込んで準備を進めていく。果たして彼女たちは無事模擬店を成功させることができるだろうか…。

 パウンドケーキの試作品に対してレシピがデタラメだと指摘されたり、お揃いのTシャツ作成の過程で意見が食い違ったりしても、明るく真面目に取り組む亜矢。皆の意見に耳を傾ける姿に思わず応援したくなります。あなたもホームメイキング同好会の一員となって文化祭を楽しんでみませんか。