おすすめの本

  • 掲載日:2024年5月15日
日差しには日傘、梅雨には雨傘。どちらにも活躍する「傘」に関する本を紹介します。
ずぶぬれの木曜日ーきっとどこかにあるはずだー
 


エドワード・ゴーリー/著 柴田元幸/訳 
河出書房新社

 
 犬のブルーノは、ご主人様が失くした傘を探しに出かけます。傘をさしておしゃべりをする女性たち、傘を持つのが好きではないと新聞紙をかぶる人、なぜか傘に閉じ込められている子ども…雨の街では傘と人との様々な光景が繰り広げられています。
 細い線で描かれた雨を背景に、ブルーノと傘の黒が印象的なモノクロームの世界。雨の日にゆっくり読みたい大人の絵本です。
田嶋春にはなりたくない

 

白河三兎/著 
新潮社

 
 法学部2年生のタージこと田嶋春は規則に忠実で正義感が強く、それゆえに大学で少し浮いた存在です。構内数か所に傘立てを設置し、たった一人でレンタル傘の活動をしています。「相合傘の習慣も広まればいいんですけどね」と独特な発想のタージ。菅野はタージを疫病神と恐れていますが、レンタル傘のトラブルを機に、彼女に対する心の変化を感じていきます。
 「人は人、自分は自分」と自分の声を聴き、自分を信じるまっすぐで魅力的な田嶋春に出会える一冊です。  
 
ひとりでカラカサさしてゆく

 

江國香織/著 
新潮社

 
 ホテルのバーラウンジでピアノの音色に包まれる中、いつものように楽しい会話に花を咲かせていた80代の男女3人。しかし、その翌日全員遺体となって発見されます。死因は自殺。3人の死をきっかけに、遺された家族や友人は故人や自らの人生に想いを馳せます。
 タイトルは童謡「雨降りお月さん」の歌詞からとられています。本作はこの歌の持つ淋しさと清々しさを感じさせる物語です。