傘
日差しには日傘、梅雨には雨傘。どちらにも活躍する「傘」に関する本を紹介します。
- ずぶぬれの木曜日ーきっとどこかにあるはずだー

エドワード・ゴーリー/著 柴田元幸/訳
- 河出書房新社
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犬のブルーノは、ご主人様が失くした傘を探しに出かけます。傘をさしておしゃべりをする女性たち、傘を持つのが好きではないと新聞紙をかぶる人、なぜか傘に閉じ込められている子ども…雨の街では傘と人との様々な光景が繰り広げられています。
細い線で描かれた雨を背景に、ブルーノと傘の黒が印象的なモノクロームの世界。雨の日にゆっくり読みたい大人の絵本です。
- 田嶋春にはなりたくない

白河三兎/著
新潮社
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法学部2年生のタージこと田嶋春は規則に忠実で正義感が強く、それゆえに大学で少し浮いた存在です。構内数か所に傘立てを設置し、たった一人でレンタル傘の活動をしています。「相合傘の習慣も広まればいいんですけどね」と独特な発想のタージ。菅野はタージを疫病神と恐れていますが、レンタル傘のトラブルを機に、彼女に対する心の変化を感じていきます。
「人は人、自分は自分」と自分の声を聴き、自分を信じるまっすぐで魅力的な田嶋春に出会える一冊です。
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- ひとりでカラカサさしてゆく

江國香織/著
新潮社
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ホテルのバーラウンジでピアノの音色に包まれる中、いつものように楽しい会話に花を咲かせていた80代の男女3人。しかし、その翌日全員遺体となって発見されます。死因は自殺。3人の死をきっかけに、遺された家族や友人は故人や自らの人生に想いを馳せます。
タイトルは童謡「雨降りお月さん」の歌詞からとられています。本作はこの歌の持つ淋しさと清々しさを感じさせる物語です。