おすすめの本

ろうそく

  • 掲載日:2024年12月15日
 
 ろうそくの灯りは幻想的で、不思議と見入ってしまいます。イルミネーションがきらめく季節に、揺らぐろうそくの灯りを感じる本はいかがでしょうか。
化物蝋燭
 

木内昇/著
朝日新聞出版
 
 当代一と呼ばれる影絵師の富右治は、ある男を幽霊の影絵で脅してほしいと頼まれる。人を楽しませる芸を脅しに使う事に気乗りはしないものの、依頼主への同情から引き受けてしまうが―。
 表題作「化物蝋燭」他、江戸の市井の人々を描いた時代小説集。この世に未練を残して去った人と、去った人へ思いを馳せる人。それぞれが紡ぐ切なさと恐ろしさ、そして温もりの混ざり合う物語は、蝋燭が照らす薄闇と柔らかな灯を思わせてくれます。
手作りを楽しむ蜜ろう入門-キャンドル、蜜ろうラップ、木工クリームなど-

安藤竜二/著
農山漁村文化協会
 
 蜜ろうはハチの巣から採取され、ろうそく以外にも化粧品や薬品など様々な用途があります。この本では、蜜ろうの基礎知識に始まり、歴史や入手方法、ろうそくの作り方まで詳細に書かれています。
 蜜ろうの色はミツバチの食べた花粉の色により異なり、ろうそくにするとその色が反映されて美しいとのこと。「蜜ろうを通して自然と人との距離を近づけたい」という著者の静かな熱意が感じられる一冊です。
赤い蠟燭と人魚
 

小川未明/文
酒井駒子/絵
偕成社
 
 「人間の住んでいる町は、美しいということだ。」
 北の冷たく暗い海に棲む人魚の母は、娘の幸せを願い、人間の世界に娘を託します。老夫婦によって人魚の娘は大切に育てられますが、人間の欲望に裏切られ、悲しい運命をたどることに。
 酒井駒子の挿絵によって、幻想的な物語の世界がより一層引き立てられています。日本児童文学の父、小川未明が残した不朽の名作です。